熱海の別邸群 ①旧日向別邸
熱海での研修も無事終了(平成28年10月下旬)。
宿泊先は、ジブリの某作品にも登場したローマ風呂が売りの大型ホテル。ただ、一度経営破綻し、その後格安ホテルGに買収されただけあって、ハードにもソフトにもお金を掛けないぞ感が満載でした……。
翌朝、気を取り直して、同期のG先生・T先生とともに、熱海の別邸群を巡ります。
まずは、午前10時に予約した旧日向(ひゅうが)別邸へ(国重文、入館料300円、土日祝のみ開館、事前予約制)。
20世紀初期の世界的建築家ブルーノ・タウト(※ドイツ人。ナチスから逃れて来日後、桂離宮に参観して「泣きたくなるほど美しい」と言った人です。)が、日本に遺した唯一の建築作品(地下室)がここにはあります。
さて、2台分しかない駐車場(無料)に車を駐めることができましたが、旧日向別邸の外観(上屋)は一見ありふれた昭和の木造住宅……。上屋も、渡辺仁という著名な建築家(※銀座和光や東京国立博物館を設計)の作品なのですが……。
建物内に入ると、芝生庭園に目を奪われます。借景は海。塀の向こうには初島や遠く伊豆大島を望むことができます。
職員の方曰く、島を庭園の石に見立てているとのこと。
この芝生庭園の下が地下室となります。
急傾斜地に庭園を作るため、土留め代わりに鉄筋コンクリートで地下室を造ったとのこと。その内装設計を任されたのがタウトでした。
なお、残念ながら、地下室は撮影禁止です。
地下室は、大きく社交室、洋間、日本間の3室に分かれており、各室毎に使用木材も照明も異なるという凝りようです。他にも、ベンガラで彩られた日本間、屏風に見立てた窓、縁(へり)を一直線にした畳の敷き方など、随所にタウトのこだわりが感じられました。
以上のことは、職員の方が懇切丁寧に説明・解説してくれます。
外観は平凡でしたが、内部は素晴らしい旧日向別邸でした。
〔②起雲閣 へ続きます〕