2016年5月20日
紀の国の庭園 ⑨福智院 重森三玲の庭園群
福智院は、宿坊とはいえ、旅館並みの設備を備えています(違いは、部屋の外鍵が掛からない程度)。
高野山唯一の温泉やサウナまであります。
そのため、女性や外国人にも人気の高い宿坊です。
もっとも、今回、橙が福智院を選んだ理由は、宿泊者のみに許された重森三玲作の3庭園を鑑賞するためです(平成28年5月上旬)。
まずは、山門を入ったところにある「愛染庭」を。
石庭とインカ風を基調とした敷石と光悦垣です(各庭園の説明は、中田勝康著「重森三玲庭園の全貌」より)。
ダイナミックな築山と石組です。
続いて、宿坊内に入り、池泉回遊式庭園の「登仙庭」へ。
緑泥片岩を使った洲浜模様が自由な曲線を描いています。
築山の曲線もゆったりとしていて柔らかいですね。
最後に、枯山水蓬莱式庭園の「蓬莱遊仙庭」です。
日本庭園の基本要素である洲浜を究極までデフォルメしたデザインで、赤砂を使用することにより曲線を際立たせています。全ての方向から見ることができる四方正面の庭です。
重森三玲晩年の名庭群を堪能しました。
当日、宿泊した部屋は、「登仙庭」に面した離れのような部屋でした(四畳半、禁煙、トイレ付き)。
精進料理も創作系の手の込んだものです。
温泉(畳湯とサウナ・露天風呂付きの新しい浴場)は引湯のようですが、新湯注入率はそこそこ高め。
身体もほぐれ、早々と眠りに落ちました。
〔⑩高野山奥之院(前編) へ続きます〕