熱海の別邸群 ②起雲閣
旧日向別邸から車で約5分、起雲閣に到着しました(入館料510円、水休・年末休、駐車場無料)。
(写真は、洋館「玉姫」の間のサンルーム。アール・デコ調の幾何学模様で装飾されており、床のモザイクタイルも秀逸です。)
起雲閣の所有者は転々としており、当時の所有者の好みを色濃く反映した建物が増築されてきました。
当初は別荘、戦後は旅館となり、その後熱海市が購入して2000年(平成12年)から公開されています。
本館は、海運王と呼ばれた内田信也の別荘として、1919年(大正8年)に建てられた伝統的な日本建築です。
(写真は、本館1階「麒麟」の間。壁の色は加賀群青。石川県加賀地方の床の間などに見られる色合いで、金沢の「成巽閣」がルーツと云われています。)
(写真は、本館2階「大鳳」の間から眺めた庭園。太宰治も宿泊した部屋で、壁の色は紫です。)
続いて、洋館へ。鉄道王と呼ばれた根津嘉一郎の別荘として、1932年(昭和7年)に建てられました。現在の庭園を整備したのも根津です。
なお、根津の生家は「根津記念館」(山梨県山梨市)、東京の邸宅は「根津美術館」(東京都港区)となっており、拙ブログでも紹介させていただきました。
(写真は、洋館「玉渓」の間の小窓ステンドグラス。この部屋は英国テューダー様式で造られており、随所にトランプのマーク♢♡♠♣がちりばめられています。)
その後に続く旧旅館各部屋は、起雲閣に宿泊した文豪達の展示室となっています。
最後に、庭園を散策し、起雲閣を後にしました。
熱海は社員旅行の激減によって一時寂れた感がありましたが、東京から新幹線こだま号で約45分の立地。マイカー離れを逆手にとって、賑わいを取り戻しつつあると云われています。
そんな中、温泉プラスの別邸巡りで、静かな熱海を楽しむのも乙ではないでしょうか。
〔終〕